2007/07/22

みなとみらい


東急東横線が延長されたみなとみらい線の駅デザインには建築家が起用されている。
新高島駅:山下昌彦+UG都市設計+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
馬車道駅:内藤廣建築設計事務所+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
みなとみらい駅:早川邦彦建築研究室+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
元町・中華街駅:伊東豊雄建築設計事務所


個人的には馬車道駅が一番好きである。レンガの質と色彩、統一感がなんともいえない。

先日は初めて元町・中華街駅に行ってみた。初めての方はぜひ外から駅に入っていく空間を体験してもらいたい。映画館の入り口のようなところからホームのあるトンネルの体内にエスカレーターが降りてゆく。急に視界がひらけ、ホームの賑わいを満たした円筒空間に飲み込まれてしまう。。。
絞ってぱっとひらく。セオリー通りなのだけど、見せ方のうまさにあっとやられる。

「建築マップ」http://www.archi-map.net/で個々の駅に関しての評が載っているので参考にされたい。

続いて横浜港大さん橋国際客船ターミナルへ。
(だいさんばしじゃなくておおさんばし。)
一言で言えば、「自然な体験」だった。
水平線、大波、砂丘。体験しながらそんな言葉が浮かぶ。歩いていても足に負荷がかかることがなく、丘のように自然である。座る場所、眺める場所、走り回る場所、曲がりくねる床面によっていろいろな場所が生まれている。手すりやロープがあるのはもったいないが、それだけ曲がりくねった床に上りたくなってしまうのは成功の証であろう。芝生に座って海風に吹かれながら見る港の眺めは最高である。人々の顔がこの気持ちよさを証明している。印象的だったのは車椅子に乗ったカップル?が遊びにきていたこと。ある程度勾配によって制限はあると思うが、階段のない建築なんだなあと再認識する。
デッキにはメンテナンスフリーというイペという木材(イペ:メンテナンスが基本的に不要な高耐久木材・ブラジル、南米アマゾン流域に植生するノウセンカズラ科の樹木。*同「建築マップ」http://www.archi-map.net/より引用)が使われている。規格は2x4のような感じだ。当初の色はもっとオレンジがかっていたようであるのが、雨のかからない部分を見るとわかる。
床のとげに注意!という看板を方々で見かけた。サンダルなんか履いててぐさっといったらかなり痛いだろう。ささりそうな箇所は確認できなかったけど、時間とともにどっかには必ず出てくるのだろう。ゆがみ、割れる、木材の宿命である。デッキの板張りは角度が少しずつつきながら変化し、床面の方向性を作っていて、見ていて楽しい。鉄構造は海風に対して何年くらい大丈夫なのか。塗り替えは大変そう。
丘のようになっているその下には折板構造!の大空間が広がっている。かなりダイナミック。溶接跡もダイナミック(笑)!コンピュータ設計が施工にもたらす無理矢理感!ま、それも建築が人の手で作られている証であって悪いもんじゃないなという気がする。施工よくがんばった。

形は新奇であるがそこだけで評価すべき建築ではない。これは俯瞰ではなく虫瞰的に「体験」すべき建築であろう。久々に楽しい体験だった。現代建築賛美!

「都市を歩く表象」展・「アルヴァロ・シザ」展


「都市を歩く表象」展 http://www.cityelephant.com
像の象を都市において歩かせる・・・詳しくはウェブサイトを参照。テクストを読んでもっと重厚な展示かと思っていたのだが、かなりかわいらしい印象だった。音楽のセレクトはあれでよかったのだろうか。照明はもうちょっと暗い方が引き立つと思った。
木と鉄がミックスされた中世の機械のイメージ。装置はなかなか面白くできている。ただもっとインタラクティブな動きを期待していたのだが、実際には反応が鈍かったりぎこちなさのほうが目立ってしまって残念だった。
7月27日(金)まで ホテル・ニューオータニ・ガーデンコート3Fにて

「アルヴァロ・シザ」展 http://www.toto.co.jp/gallerma/
職人によると思われる模型はコンマ5ミリくらいの木の薄板が精密に表面を覆っていてスキのなさが見事だった。図面を一応見るものの、まだ図面を読みなれていない自分が情けない。
7月28日(土)まで ギャラリー間にて

最近よんだ本

「湖上の家、土中の家 世界の住まい環境を測る」
益子義弘+東京藝術大学益子研究室 農文協 2006年

1年生必修の建築概論の授業で紹介された本。興味深い住居調査の様子が記されている。


「卒業設計で考えたこと。そしていま」
五十嵐太郎編 彰国社 2005年

手描きを見て、CAD図面の軽さをまた感じた。図面のあり方はほんとにここ10年もしない間に大変化したんだろう。


「現代建築に関する16章 空間、時間、そして世界」
五十嵐太郎 講談社現代新書 2006年
4章:全体/部分 レヴィ=ストロース「野生の思考」から「近代的な科学者」vs「器用人」という図式を引用し、全体から部分へと至る思考と部分から全体へと至る思考を2項対立させながらわかりやすく論じている。
5章:レム・コールハース マンハッタニズムやビッグネスといった概念を紹介。一つの章を占めるコールハースという存在の重さ。はずかしながら著作を1冊も読んだことがないのだが、概略だけでも知ることができてよかった。この夏は必ず読みます。
12章:場所と景観 インターナショナル・スタイルvs地域主義vs批判的地域主義・・・特に面白いと思ったのはツォニス&ルフェーブルによる「ダーティー・リアリズム」の紹介である。ある文脈に対して異物を挿入することによって逆説的に場所性を強く喚起させるもの。同化ではなく異化。

この本は語りおろし形式ということもあり平易な文章で、広く浅く、現代建築だけにとどまらない知っておくべき事柄(人物・著作・考え方)をたくさん紹介してくれていて良い。これも知りたい、これも読みたい、と思わせてくれる。

2007/07/16

講評会


講評会がおわった。一年生はあんまりつっこんでもらえない。
溶接したポール周辺の部品とか、大量に仕口のある脚をサンプルとして持っていったのは正解だった。

2007/07/07

1/5椅子模型


背もたれ部と座面の取り付きを若干変更。
水曜日の合同講評会に向け、プレゼン準備をすすめないといけない。






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課題:都市を読むための椅子
-Urban Reading Chair-

車道と歩道という2つの速度の接点にバス停は存在している。それは必然的に、人々が止まり・待つ「速度ゼロの場所」であるとともに、様々な人々が交叉する出会いの場所(都市劇の舞台、都市劇場)ともいえる。それはある種可能性に満ちた空間ではないか。
おばあちゃんが立ってバスを待っている風景を目にしたとき、そこに椅子を作らなければいけないと思った。
バス停(劇場)のもっている可能性を引き出すおばあちゃんのための椅子(舞台装置)を提案する。

今回僕が作った椅子は、座ってバスを待つ隣人へと自然に意識が向いてしまうということをコンセプトとした。
2つの座面に少し間をあけて座れることによって、個人の空間を確保しつつ、一つの背もたれが、包まれるように一体感のある場所を作り出している。
また、歩行者横断防止柵を兼ねて既存の金属製ポールに取付けられるよう設計し、景観との連続性を図ると同時に都市内に於ける拡張性も担保している。
屋外でありながらあえて肌になじみのいい家具のような存在を挿入することで、心地よい滞留空間を実現するとともに、ただの通行空間でしかなかった歩道が愛着を持たれる空間になれば、それは人や都市をより善くする力になるだろう。

ガラスのスカイスクレイパー


ではないが。銀座で発見。

2007/07/02

製材中。


椅子が終わらない。

毎週月木は木材工房の大型機械が使える日だ。でも週2日じゃ足りない。。。

おおまかに木取りして切断し、手押し鉋盤と自動一面鉋盤にかけて厚みを出し、左右をケガいて横切り盤で寸法通りに切る。
というのが基本的な作業。

多湿だからなのか切って乾燥するからなのか、切ったそばから反り始めてる。
反ること、ちぢむこと、ねじれること、くさること、
木を扱うといろんなことを考えなきゃいけない。
そうやって木のことをわかるしかない。

ふじもり&ゲーリー


オペラシティで開かれていた藤森照信建築展、最終日に行ってきた。

会場には藤森氏本人の姿も。
一番良かったのは入ってすぐの部屋。冒頭に建築は仕上げであるという言葉。ああ、ここにも素材好きな人がいた。
僕には馴染みのあるチェーンソーや曲面カンナのほか、ちょうなや見たことない皮剥きマシンなど丸太をいろいろな表情に仕上げるための工具のほか、しっくいや土壁の見本、草屋根や石屋根、銅板などの施工法が展示してあり、自分たちで考えて作っていく姿勢にとても親近感を覚えた。杉丸太を彫り出した樋なんかとてもいい。手のひらで仕上げた漆喰塗りの壁は素晴らしいテクスチャーである。銅板も相変わらずいい光を放っている。

藤森氏監修のメゾンエルメスの展示にも使われていた分厚い杉の合板は「Jパネル」と呼ばれるもの。要するに目を互い違いに3層張り合わせて強度と美しさを兼ね備えた杉板なのだが、案の定高い。夕方ハンズで3×6版22000円!を確認。高過ぎじゃん。

会場には氏の卒業設計も展示されていた。なかなかのドローイング。ますます手描きの魅力にはまってしまいそうである。
「路上」については長くなりそうなので割愛するが、年月を経て「遊び」が「力」をもつことの強さを再確認した。

続いて渋谷Bunkamuraル・シネマにて「スケッチ・オブ・フランクゲーリー」を鑑賞。(タイトルのカタカナが馴染めない。スケッチはほんとは複数形なのに。)
ゲーリーの友人である映画監督のシドニー・ポラックがインタビューや会話を交えて彼の個性をあぶり出してゆく。ただの賞賛映画かと思いきやちゃんと反対意見の批評もある所がえらい。まあそれも悪役っぽく見えてしまうが。

なかなかの野心家、そして頑固さと我の強さ。若いときはさぞおっかない人だったんだろう。

はりぼて建築といわれようとも、制約や慣習から飛び出て新しいものをつくりだそうという熱さにやる気がわいてくる。

ラーメン一蘭


世界初「味集中カウンター」なるものを体験してきた。

いわく「目の前と隣席を仕切り、1席1席が半個室になっていることで周りが一切気にならない為、味覚が研ぎ澄まされラーメンの美味しさをより深く味わっていただけます。」

うわさには聞いていたので一体それがどんな雰囲気なのか、とても興味があったのだ。

入ってみると思ったほど個室的な閉鎖感はなく、左右はついたてといった程度の板で1席ずつ仕切られている。視線が遮られているせいか、ラーメンが待ち遠しい。
店員のいるサービス側との間は小さな窓が空いているだけで、それもラーメンが出されると店員がすだれを下ろしてゆくというこだわりぶり。透かしてみるとうっすらと向こう岸でラーメンをすする人の姿が見える。
注文方法も工夫されたシステムがあり、なかなか楽しい。

まあ何にせよラーメン自体がかなり美味かったので、満足して帰った。
また行こう。