2007/06/26

横須賀美術館

この4月に新しくオープンした横須賀美術館に行ってきた。

海の景色と一体化してしまうような眺めと背後まで迫る山の自然との間、そんな立地。晴れていれば最高であった。
館内はぐるぐると立体的な空間構成になっていて見て回っていてとても面白かった。

僕は天井と床に注目した。
特に1F展示室の天井は二重になっており、ルーバーの裏側に隠された蛍光灯による間接照明がとても美しい空間性を獲得することに成功している。カーンやピアノの天井は見たことがないからなんともいえないが、今まで体験した美術館の中では一番良い天井ではないかと思った。
BFの展示室にも違ったやり方で蛍光灯自体を隠し間接光を得ているが、掘り込まれた凹部がやや目立ってしまっているような印象もあった。また、スポットライトの形は良くない。どうにかならないものか。
白い空間の中にあって床面はすべてフラットな木フローリング仕上げで、天井との間にとても心地いいひびき合いを作り出している。空調設備は床と壁のスキ間に設けられたスリットでその存在がわかる。それは床面をきれいに納めると同時に空調が床下にあるのはおそらく天井面から余分なものをなくすためか、構造上天井面に設備スペースが作れなかったからではないか。
床といえばもう一つ。エントランスや中庭?に敷かれたデッキのようなもの。これはプレキャストコンクリート製である。だがコンクリートに見えないやわらかな感じをもっている。素材の分節化によってこんな表情も生まれるんだと勉強になった。

この美術館は半分埋まった鉄の泡をガラスケースで海風から守るような構成でできている。その2重性は「守りながら開く」という美術館のもつ要求への1つの解答となっているだろう。

禅寺のように景色を切り取る窓。にじり口のようにわざと低い位置にあけられた窓。吹き抜け空間と展示室の天井高のリズム感。
「見え」のコントロールもなかなか心憎い。21世紀美術館とくらべるなら、僕はこちらの美術館に軍配をあげる。

横須賀美術館ホームページ
http://www.yokosuka-moa.jp/
山本理顕ブログ
http://blog.goo.ne.jp/ry-blog
山本理顕設計工場
http://www.riken-yamamoto.co.jp/sitefolder/ryTop.html

2 件のコメント:

munemas さんのコメント...

来週水曜に見てきます.
さて楽しみだ.

Kubo さんのコメント...

これの建設に際しては市民といろいろ悶着があったみたいだね。そんなの建築誌には載らんわな。