2007/10/02

そういえば

椅子展ホームページはこちら
http://www.geidai.ac.jp/labs/architoride/prjct2007/chairshow/index.html
ウェブ係が必死に作ってくれました。

毎日来場者は20~30人ぐらい。展示としてはまあまあなところでしょうか。
今日はコンペに落ちてちょっとがっかり。
後期は本を読む時間をちゃんと作ろうかなと思っています。あさってから後期課題のスタートです。

2007/09/28

バス停の椅子


敷地:文京区根津神社付近

たった数分間バスを待つ間、2つの座面に1つの背もたれという構成によっ
て、隣に座った人へと自然に意識が向いてしまう、そんな椅子を作った。
バスを待つおばあちゃんが安心して座れるよう、座面高さを低めにした。
交通の接点にささやかな会話が交わされる場所を作れればと思う。

タモ材を使用し、塗装には新開発のMR漆を使った拭き漆仕上げとした。背もたれが背中にフィットして座り心地はなかなかいい。
両端に見えるパイプは歩道の脇にある金属柵の一部で、実際にそこに取り付けられるように設計してある。
幅は2m、高さは800mm。

椅子展はじまる


テーマは「都市を読むための椅子」。最後は3徹で制作し続け、奇跡的に形にすることが出来た。感謝

お時間あれば、ぜひ座りに来て下さい!

詳細
9月25日(火)〜10月8日(月)の2週間(初日は18時よりパーティーがあります。)
東京芸術大学総合工房棟2F多目的ラウンジ(JR・地下鉄 上野駅より徒歩13分、上野動物園裏)
開館時間10時〜17時

2007/07/22

みなとみらい


東急東横線が延長されたみなとみらい線の駅デザインには建築家が起用されている。
新高島駅:山下昌彦+UG都市設計+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
馬車道駅:内藤廣建築設計事務所+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
みなとみらい駅:早川邦彦建築研究室+鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社
元町・中華街駅:伊東豊雄建築設計事務所


個人的には馬車道駅が一番好きである。レンガの質と色彩、統一感がなんともいえない。

先日は初めて元町・中華街駅に行ってみた。初めての方はぜひ外から駅に入っていく空間を体験してもらいたい。映画館の入り口のようなところからホームのあるトンネルの体内にエスカレーターが降りてゆく。急に視界がひらけ、ホームの賑わいを満たした円筒空間に飲み込まれてしまう。。。
絞ってぱっとひらく。セオリー通りなのだけど、見せ方のうまさにあっとやられる。

「建築マップ」http://www.archi-map.net/で個々の駅に関しての評が載っているので参考にされたい。

続いて横浜港大さん橋国際客船ターミナルへ。
(だいさんばしじゃなくておおさんばし。)
一言で言えば、「自然な体験」だった。
水平線、大波、砂丘。体験しながらそんな言葉が浮かぶ。歩いていても足に負荷がかかることがなく、丘のように自然である。座る場所、眺める場所、走り回る場所、曲がりくねる床面によっていろいろな場所が生まれている。手すりやロープがあるのはもったいないが、それだけ曲がりくねった床に上りたくなってしまうのは成功の証であろう。芝生に座って海風に吹かれながら見る港の眺めは最高である。人々の顔がこの気持ちよさを証明している。印象的だったのは車椅子に乗ったカップル?が遊びにきていたこと。ある程度勾配によって制限はあると思うが、階段のない建築なんだなあと再認識する。
デッキにはメンテナンスフリーというイペという木材(イペ:メンテナンスが基本的に不要な高耐久木材・ブラジル、南米アマゾン流域に植生するノウセンカズラ科の樹木。*同「建築マップ」http://www.archi-map.net/より引用)が使われている。規格は2x4のような感じだ。当初の色はもっとオレンジがかっていたようであるのが、雨のかからない部分を見るとわかる。
床のとげに注意!という看板を方々で見かけた。サンダルなんか履いててぐさっといったらかなり痛いだろう。ささりそうな箇所は確認できなかったけど、時間とともにどっかには必ず出てくるのだろう。ゆがみ、割れる、木材の宿命である。デッキの板張りは角度が少しずつつきながら変化し、床面の方向性を作っていて、見ていて楽しい。鉄構造は海風に対して何年くらい大丈夫なのか。塗り替えは大変そう。
丘のようになっているその下には折板構造!の大空間が広がっている。かなりダイナミック。溶接跡もダイナミック(笑)!コンピュータ設計が施工にもたらす無理矢理感!ま、それも建築が人の手で作られている証であって悪いもんじゃないなという気がする。施工よくがんばった。

形は新奇であるがそこだけで評価すべき建築ではない。これは俯瞰ではなく虫瞰的に「体験」すべき建築であろう。久々に楽しい体験だった。現代建築賛美!

「都市を歩く表象」展・「アルヴァロ・シザ」展


「都市を歩く表象」展 http://www.cityelephant.com
像の象を都市において歩かせる・・・詳しくはウェブサイトを参照。テクストを読んでもっと重厚な展示かと思っていたのだが、かなりかわいらしい印象だった。音楽のセレクトはあれでよかったのだろうか。照明はもうちょっと暗い方が引き立つと思った。
木と鉄がミックスされた中世の機械のイメージ。装置はなかなか面白くできている。ただもっとインタラクティブな動きを期待していたのだが、実際には反応が鈍かったりぎこちなさのほうが目立ってしまって残念だった。
7月27日(金)まで ホテル・ニューオータニ・ガーデンコート3Fにて

「アルヴァロ・シザ」展 http://www.toto.co.jp/gallerma/
職人によると思われる模型はコンマ5ミリくらいの木の薄板が精密に表面を覆っていてスキのなさが見事だった。図面を一応見るものの、まだ図面を読みなれていない自分が情けない。
7月28日(土)まで ギャラリー間にて

最近よんだ本

「湖上の家、土中の家 世界の住まい環境を測る」
益子義弘+東京藝術大学益子研究室 農文協 2006年

1年生必修の建築概論の授業で紹介された本。興味深い住居調査の様子が記されている。


「卒業設計で考えたこと。そしていま」
五十嵐太郎編 彰国社 2005年

手描きを見て、CAD図面の軽さをまた感じた。図面のあり方はほんとにここ10年もしない間に大変化したんだろう。


「現代建築に関する16章 空間、時間、そして世界」
五十嵐太郎 講談社現代新書 2006年
4章:全体/部分 レヴィ=ストロース「野生の思考」から「近代的な科学者」vs「器用人」という図式を引用し、全体から部分へと至る思考と部分から全体へと至る思考を2項対立させながらわかりやすく論じている。
5章:レム・コールハース マンハッタニズムやビッグネスといった概念を紹介。一つの章を占めるコールハースという存在の重さ。はずかしながら著作を1冊も読んだことがないのだが、概略だけでも知ることができてよかった。この夏は必ず読みます。
12章:場所と景観 インターナショナル・スタイルvs地域主義vs批判的地域主義・・・特に面白いと思ったのはツォニス&ルフェーブルによる「ダーティー・リアリズム」の紹介である。ある文脈に対して異物を挿入することによって逆説的に場所性を強く喚起させるもの。同化ではなく異化。

この本は語りおろし形式ということもあり平易な文章で、広く浅く、現代建築だけにとどまらない知っておくべき事柄(人物・著作・考え方)をたくさん紹介してくれていて良い。これも知りたい、これも読みたい、と思わせてくれる。

2007/07/16

講評会


講評会がおわった。一年生はあんまりつっこんでもらえない。
溶接したポール周辺の部品とか、大量に仕口のある脚をサンプルとして持っていったのは正解だった。

2007/07/07

1/5椅子模型


背もたれ部と座面の取り付きを若干変更。
水曜日の合同講評会に向け、プレゼン準備をすすめないといけない。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
課題:都市を読むための椅子
-Urban Reading Chair-

車道と歩道という2つの速度の接点にバス停は存在している。それは必然的に、人々が止まり・待つ「速度ゼロの場所」であるとともに、様々な人々が交叉する出会いの場所(都市劇の舞台、都市劇場)ともいえる。それはある種可能性に満ちた空間ではないか。
おばあちゃんが立ってバスを待っている風景を目にしたとき、そこに椅子を作らなければいけないと思った。
バス停(劇場)のもっている可能性を引き出すおばあちゃんのための椅子(舞台装置)を提案する。

今回僕が作った椅子は、座ってバスを待つ隣人へと自然に意識が向いてしまうということをコンセプトとした。
2つの座面に少し間をあけて座れることによって、個人の空間を確保しつつ、一つの背もたれが、包まれるように一体感のある場所を作り出している。
また、歩行者横断防止柵を兼ねて既存の金属製ポールに取付けられるよう設計し、景観との連続性を図ると同時に都市内に於ける拡張性も担保している。
屋外でありながらあえて肌になじみのいい家具のような存在を挿入することで、心地よい滞留空間を実現するとともに、ただの通行空間でしかなかった歩道が愛着を持たれる空間になれば、それは人や都市をより善くする力になるだろう。

ガラスのスカイスクレイパー


ではないが。銀座で発見。

2007/07/02

製材中。


椅子が終わらない。

毎週月木は木材工房の大型機械が使える日だ。でも週2日じゃ足りない。。。

おおまかに木取りして切断し、手押し鉋盤と自動一面鉋盤にかけて厚みを出し、左右をケガいて横切り盤で寸法通りに切る。
というのが基本的な作業。

多湿だからなのか切って乾燥するからなのか、切ったそばから反り始めてる。
反ること、ちぢむこと、ねじれること、くさること、
木を扱うといろんなことを考えなきゃいけない。
そうやって木のことをわかるしかない。

ふじもり&ゲーリー


オペラシティで開かれていた藤森照信建築展、最終日に行ってきた。

会場には藤森氏本人の姿も。
一番良かったのは入ってすぐの部屋。冒頭に建築は仕上げであるという言葉。ああ、ここにも素材好きな人がいた。
僕には馴染みのあるチェーンソーや曲面カンナのほか、ちょうなや見たことない皮剥きマシンなど丸太をいろいろな表情に仕上げるための工具のほか、しっくいや土壁の見本、草屋根や石屋根、銅板などの施工法が展示してあり、自分たちで考えて作っていく姿勢にとても親近感を覚えた。杉丸太を彫り出した樋なんかとてもいい。手のひらで仕上げた漆喰塗りの壁は素晴らしいテクスチャーである。銅板も相変わらずいい光を放っている。

藤森氏監修のメゾンエルメスの展示にも使われていた分厚い杉の合板は「Jパネル」と呼ばれるもの。要するに目を互い違いに3層張り合わせて強度と美しさを兼ね備えた杉板なのだが、案の定高い。夕方ハンズで3×6版22000円!を確認。高過ぎじゃん。

会場には氏の卒業設計も展示されていた。なかなかのドローイング。ますます手描きの魅力にはまってしまいそうである。
「路上」については長くなりそうなので割愛するが、年月を経て「遊び」が「力」をもつことの強さを再確認した。

続いて渋谷Bunkamuraル・シネマにて「スケッチ・オブ・フランクゲーリー」を鑑賞。(タイトルのカタカナが馴染めない。スケッチはほんとは複数形なのに。)
ゲーリーの友人である映画監督のシドニー・ポラックがインタビューや会話を交えて彼の個性をあぶり出してゆく。ただの賞賛映画かと思いきやちゃんと反対意見の批評もある所がえらい。まあそれも悪役っぽく見えてしまうが。

なかなかの野心家、そして頑固さと我の強さ。若いときはさぞおっかない人だったんだろう。

はりぼて建築といわれようとも、制約や慣習から飛び出て新しいものをつくりだそうという熱さにやる気がわいてくる。

ラーメン一蘭


世界初「味集中カウンター」なるものを体験してきた。

いわく「目の前と隣席を仕切り、1席1席が半個室になっていることで周りが一切気にならない為、味覚が研ぎ澄まされラーメンの美味しさをより深く味わっていただけます。」

うわさには聞いていたので一体それがどんな雰囲気なのか、とても興味があったのだ。

入ってみると思ったほど個室的な閉鎖感はなく、左右はついたてといった程度の板で1席ずつ仕切られている。視線が遮られているせいか、ラーメンが待ち遠しい。
店員のいるサービス側との間は小さな窓が空いているだけで、それもラーメンが出されると店員がすだれを下ろしてゆくというこだわりぶり。透かしてみるとうっすらと向こう岸でラーメンをすする人の姿が見える。
注文方法も工夫されたシステムがあり、なかなか楽しい。

まあ何にせよラーメン自体がかなり美味かったので、満足して帰った。
また行こう。

2007/06/26

横須賀美術館

この4月に新しくオープンした横須賀美術館に行ってきた。

海の景色と一体化してしまうような眺めと背後まで迫る山の自然との間、そんな立地。晴れていれば最高であった。
館内はぐるぐると立体的な空間構成になっていて見て回っていてとても面白かった。

僕は天井と床に注目した。
特に1F展示室の天井は二重になっており、ルーバーの裏側に隠された蛍光灯による間接照明がとても美しい空間性を獲得することに成功している。カーンやピアノの天井は見たことがないからなんともいえないが、今まで体験した美術館の中では一番良い天井ではないかと思った。
BFの展示室にも違ったやり方で蛍光灯自体を隠し間接光を得ているが、掘り込まれた凹部がやや目立ってしまっているような印象もあった。また、スポットライトの形は良くない。どうにかならないものか。
白い空間の中にあって床面はすべてフラットな木フローリング仕上げで、天井との間にとても心地いいひびき合いを作り出している。空調設備は床と壁のスキ間に設けられたスリットでその存在がわかる。それは床面をきれいに納めると同時に空調が床下にあるのはおそらく天井面から余分なものをなくすためか、構造上天井面に設備スペースが作れなかったからではないか。
床といえばもう一つ。エントランスや中庭?に敷かれたデッキのようなもの。これはプレキャストコンクリート製である。だがコンクリートに見えないやわらかな感じをもっている。素材の分節化によってこんな表情も生まれるんだと勉強になった。

この美術館は半分埋まった鉄の泡をガラスケースで海風から守るような構成でできている。その2重性は「守りながら開く」という美術館のもつ要求への1つの解答となっているだろう。

禅寺のように景色を切り取る窓。にじり口のようにわざと低い位置にあけられた窓。吹き抜け空間と展示室の天井高のリズム感。
「見え」のコントロールもなかなか心憎い。21世紀美術館とくらべるなら、僕はこちらの美術館に軍配をあげる。

横須賀美術館ホームページ
http://www.yokosuka-moa.jp/
山本理顕ブログ
http://blog.goo.ne.jp/ry-blog
山本理顕設計工場
http://www.riken-yamamoto.co.jp/sitefolder/ryTop.html

2007/06/16

a+u 2007:06 特集:金属を纏った建築


「特集:金属を纏った建築」ということで、金属の素材感に興味がある僕はさっそくぱらぱら読んでみた。

何となくありがちだなぁと思うものが多い中で目を引いたのがデイヴィッド・チッパーフィールドの「デモイン公立図書館」で使われていた「銅版パンチング」である。

アルミパンチングとは違うなんとも言えぬなめらかさというか薄さというか。同じことを素材を変えてやっているだけなのに、まったく違う。
銅というのは金属素材の中でも妙なぬくもりとやわらかさを僕は感じる。あの鈍い赤みのせいであろうか。或いは曲げたときの心地よいやわらかさのせいであろうか。金属でありながら、なぜ身体への近さを感じてしまうのか、まだわからない。

そういえばお寺の屋根の銅版葺きも大好きだ。あの緑青色。
写真に写っていた建築はまだピカピカの銅金色だったが、あれは言ってみれば切りたての刺身のようなものだ。緑青に包ませる気がないのだとすれば、いろいろ防錆処置をしているんだろう。

錆好きとしてはコールテン鋼の赤錆と銅の緑青にぐっとくるのであるが、あの金属の生の姿も美しいと思った。

アイカ現代建築セミナー:ラファエル・モネオx槇文彦


7月10日(火) 18:30~
有楽町のよみうりホールhttp://yomiuri-fudousan.co.jp/yomiuri-hall/にて、スペイン出身の建築家ラファエル・モネオ氏と建築家槇文彦氏の対談が行われる。

前期合同講評会前日に当たるのだが、行ってみたいので申し込んでしまった。

入場無料。申込締切は6月20日(水) 18:00まで。

詳しくはこちらから
http://www.kenchiku.co.jp/aica/

2007/06/15

イスな夏

昨日新木場に行き、椅子の材料となるタモ板材を買った。
木の目を読みながらこれだ!と決めてゆくどきどき感は楽しい。

今週は壁に貼ったトレぺに1/1のドローイングをごりごり描いては消し描いては消し、やっと図面化できるくらいまで詰まってきた。

2脚の椅子+1つの背もたれという大まかな構成。背もたれは帯状に2つの椅子をとりかこみ、3次元的・彫刻的な曲面を見せる。その中のちょっとしたへこみや曲がりが手になじむやわらかな手すりになっている。

背板と脚を一体化したことでデザインがまとまった。あとは仕口のディティールを決めてゆかねば。

イスな夏がはじまる。

2007/06/08

カウンター設計進行中


昨日は前々から考えていた塩ビ波板のダブルパネルを試作した。
後ろから光をあてると、思ったよりかなりいい効果が生まれた。

カラーリングも決定し、あとは足元や構造のディティールを詰めていくだけだ。
波板のチープなイメージを覆すような美しい使い方を見せられないかと思う。

照明はふすま用の和紙を使うことにする。ビールのジョッキみたいで面白い。ジョッキライト。

2007/05/31

1年生第2課題「都市を読む椅子」プラン


バス停に椅子があるとよい。
歩道が狭くても乗り降りに邪魔にならず、老人にも座りやすい。
そんな椅子をデザインすることにした。

敷地は根津駅近くのバス停。
2脚の椅子が1つの背もたれを共有し、1つのガードレールになっている。簡潔にいえばそういう椅子である。
風景の一部となるような控えめさのなかに設計者としていろいろな仕掛けを施していきたい。歩車分離の鉄製フェンスを取り外し、代わりに今回制作する木製椅子がぴったりとおさまる予定だ。

車と人の接点であること、風景・状景として考えてみること、動作の誘導、そのあたりのことをキーとして進めている。

「バーカウンター」制作プラン


料理系アーティストである友人の依頼で「移動式バーカウンター」の設計を進めている。

条件は
分割・移動可能であること
フットレストがあること
内側に既製のコールドテーブルが入ること
の3点であった。

普段はL型プランだが、マスターを中心に放射状に3分割することで、角度や大きさの異なる3つのユニットができる。その結果コの字型やS字型など敷地条件に応答した様々な組み合わせの可能性を持つようになる。
作り手が使い方を強制するのではなく、使い手が使い方を生み出していけるような自由度を作っておきたかった。

長さはそのままだと横手が4m近い。車で運べる大きさに分割する、というのも現実的な意味で重要なんだということを再認識。フットレストの位置ひとつとっても寸法がわからず、メジャー片手に試行錯誤。

そろそろディティールを詰めて図面化していかねばならない。

2007/04/30

軽井沢の山荘見学会


先日、大学の授業で吉村順三の「軽井沢の山荘」及び「脇田邸」、A・レーモンド作の「聖パウロカトリック教会」見学会に行って来た。

軽井沢の山荘は当時所員で図面を書いていた方に解説をしていただきながらの見学という贅沢なものだった。
外観は風雨にさらされて茶色というよりは白いなという印象だった。スケールもなかなかこじんまりしていて良い。やはり写真と実物とは見え方が違うことを実感。


暗さと精度

山荘は、結構暗い。施工も現代の感覚からすればそこまで良いとはいえない。だが、コンクリートにしても木の建具や壁にしても、家全体から、人の手によって作られたんだなあということが伝わってくる。山荘に入ってみて感じた「暗さ」は、そのこととなぜかぴったりとマッチするのである。すべてのものがぼんやりと見える。人間がつくるケンチクなのだ。多少ずれたりまがったりそんなことは当たり前だし気にならないのだ。
ふと、昔の建築がもっていた「暗さ」というのは建築の手作り感と密接にかかわっているような気がした。


現代の建築はとかく施工にきれいさを求める。普段生活していると全く考えないのだが、おそらく現代、特に日本の建築の施工精度は驚異的なものだと思う。人間の手で作られたものとは思えないくらいだ。

現代建築のうそっぽさはそこにある。つまり施工精度が上がるほど、材料が実体をもった素材から遊離して自分の手が知っている素材ではなくなるのだ。素材の実体は施工のほころびにしか現れない。

そして、精度を要求したのはおそらく「明るさ」である。
(「明るさ」は「衛生」の観念と、「衛生」は「文化的」という言葉と歴史的に関係しているだろう、というあたりは指摘にとどめておく。)
谷崎潤一郎は「陰影礼賛」のなかで家の中の暗がりが失われていくことをしきりに嘆いていた。明るさは部屋の隅々までを分析可能なオブジェクトへと変えてしまった。そこから精度の希求がはじまるのだ。

「暗さ」はある意味では見なくていいものをぼんやりと隠してくれていた。
ミスのできない受験生のような現代建築に対して、すべてを包み込むような「暗さ」のある建築は、大人のような包容力を持っている。「暗さ」という切り口から、現代建築が失った何かを探ることができそうである。

2007/04/29

ノマディック美術館 in お台場

アーティスト、グレゴリー・コルベールの写真・映像が建築家、坂茂によって移動美術館にしたてられ、世界で3箇所目の会場として現在日本のお台場に設営されている。「象と少年が向かい合うポスター」といえば見かけた人も多いかもしれない。

横6x高さ2.4m?のコンテナを4段分「市松模様」に積み上げた壁構造に、紙管の列柱+トラス屋根が組み合わされ、巨大な空間が安価に形成されている。コンテナは現地でレンタルしているらしい。
坂さんの設計ということでもっと紙管のイメージがあったのだが、実はコンテナがかなり重要なエレメントであった。3つのホール空間があるのだが、コンテナの下をくぐって隣のホールへ抜けるときの抜けのプロポーションが、なかなか良いのだ。あんな鉄製のでっかいカラフルなキューブを構成的に配置して、天井も高くて、なんかずるい。コンテナという世界中にあるモノの材料的な使い方に気づいたのはえらいと思う。
内部空間は展示のために光が入らないようにしてあるのだが、照明がうまくいっているのかはやや疑問だ。電気消してトップライトあけたらきれいだろうなと思った。

展示作品に関しては、演出過剰が鼻につく。絵的な美しさ・映像美のクオリティーは一級品だが、作者の意図?には反して「状況のありえなさ」に先に目がいってしまうところが残念だ。映画館にも劣らない大画面映像の迫力はなかなか。学生1600円はちょっと高い、か。

6月24日まで開催中
http://www.ashesandsnow.com

2007/04/27

建土築木

内藤廣著 「建土築木」を読んだ。

建築+土木=建土築木。
建築家でありながら土木を教えるようになった氏が、建築と土木の間に横たわる断絶に感じた複雑な心境。しかしなお建築と土木のよいところを繋げ高めていこうと思案するその思いが構築物の写真とテキストを通して伝わってくる。

現代建築が持つ透明性や軽さはむしろ構築物が本来持つ強大な権力性(パワー)を隠蔽しようとしている。だが土木はその不器用なまでの直截な表現ゆえに逆に素直である、と筆者は語る。

終戦後何もないところから人々が作り上げてきた日本の街並み。抱えている多くの問題を現状から否定することはたやすいが、当時の日本人の心境を慮って風景を眺めなおしている視点に注目したい。

2007/04/13

project具体化作業

ここらへんで、このプロジェクトの内容を具体化(および具現化)していきたいと思っている。

まずは他者へプロジェクトを紹介するためのテキスト

>Archi-Pub.Projectとは?
パブxパブリケーションをテーマに建築学生によって立ち上げられたプロジェクト。
考えていること、やりたいことを研究・発信(アウトプット)していくことでコミュニケーションの深化・活性化を図る。そんな場(パブリックスペース)を自分たちの手で作ることが、このプロジェクトの最大の目的である。
>活動内容は?
当面の目標は次の通り。
・メンバーを集める。
・場(サイトあるいはイベント)を作る。実際に小屋のような構造体を設計施工し、イベントを行う。
・建築や本や展覧会の批評、建築家研究、プロジェクトの記録等を内容とした冊子を発行する。
・コンペに挑戦する。

東京ミッドタウン

先日、東京ミッドタウンに行ってきた。
和のテイストを取り入れながらも、やっぱりスノッブな感じがぷんぷん漂う。

お目当ては安藤忠雄+日建設計の21_21 DESIGN SIGHT、受付の人に読み方を聞いてしまった。「とぅーわんとぅーわん」と読むそうだ。
タイトルの「悪戦苦闘」というならもっともっと泥臭い展示にしてもよかったのではと感じたが、キャプションが丁寧で、素人にも分かりやすいように配慮されているところは好感がもてた。
この美術館、打ちっぱなしのコンクリートのPコン跡がわざと埋められていない。理由はおそらくPコンが、コンクリートも鉄筋から打設まですべて手で作られたものである、ということを証明してくれるからだろう。

デザインサイト周辺はゆるやかな斜面がぽっかりと広場になっていて、その「何も無さ」が都心にあっては非常に贅沢だ。桜の木越しに東京タワーが見えました。

21_21 DESIGN SIGHT
http://www.2121designsight.jp

2007/04/02

コンペだ!

今年前半のコンペ情報。どれか一つ挑戦してみたいと思っている。
参加者募集。

第42回セントラル硝子国際建築設計競技

 課題 環境動物園
 主催 セントラル硝子株式会社
 審査員 伊東豊雄 岡本賢 山本理顕 櫻井潔 芦原太郎 隈研吾 硯川豊
 応募締切 2007年7月25日(水)当日消印有効
 1次審査結果発表 2007年8月
 公開審査 2007年9月29日(土)
 http://www.cgco.co.jp/

第14回空間デザイン・コンペティション
ガラスブロック50周年記念

 課題 A.提案部門:「駅の未来をつくるガラスブロック」
 主催  日本電気硝子株式会社
 審査員 香山壽夫 可児才介 安田幸一 大工信隆 馬場璋造
 登録締切 8月3日(金) 当日消印有効
 応募締切 8月20日(月) 持参の場合は正午まで.
 郵送の場合は当日消印有効
 応募先 新建築社 空間デザイン・コンペティション提案部門または
 作品例部門 係(東京都文京区湯島2-31-2) 
 http://www.kenchiku.co.jp

第34回 日新工業建築設計競技

 課 題 屋上の楽園
 審査委員  六鹿正治 青木 淳 妹島和世 藤本壮介 山本敏夫 相臺公豊
 応募登録期間 2007年4月1日〜2007年9月25日 (火)
 作品提出締切 2007年10月1日 (月)(郵送のみ。当日必着)
 登 録  http://www.kenchiku.co.jp
 作品提出先 (株)新建築社「日新工業建築設計競技係」
(必ず明記のこと)〒113-8501 東京都文京区湯島2-31-2 

2007/04/01

藤森建築展/オペラシティ

4月14日(土)から7月1日まで「藤森建築と路上観察」展が、初台の東京オペラシティアートギャラリーにて開催される。
昨年のヴェネツィア・ビエンナーレ建築展の凱旋である。

パンフレットには「未来ではなく過去に向かっての前衛」という言葉が。

オープン記念講演 4/26 19:00〜 1500円
トーク・セッション 5/13 19:00〜 石山修武x藤森照信
          5/27 19:00〜 中谷礼仁x藤森照信
藤森建築見学ツアー 5/20 8:30〜19:00 7500円昼食付き

個人的には石山さんと藤森さんのセッションが興味深い。2人の方向性がどう絡むのか。
建築ツアーも行きたい!!あの茶室の中も見られるらしい。こんな機会はない。

ともあれ藤森氏の建築をキチンと知ることのできそうな、楽しみな展覧会である。期待!

東京オペラシティーアートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/

2007/03/28

アトリエ・ワン展/ギャラリー間

「いきいきとした空間の実践」と題されたアトリエ・ワン展を見てきた。

下階の部屋いっぱいに設置された「人形劇の家」はうねうねした曲面ベニヤを互い違いに積層して壁をつくっている。
簡単な工法だが、あの組み方だと強度的には不安がありそうだ。かなり揺れたし。
会期中劇公演もあるらしい。
屋外にはリムジン屋台が。あの手作り感と文化祭的な記憶が見る者をわくわくさせる。上から見るとひさしを固定するワイヤーが美しい線。

上階の展示は模型がならんでいるだけって感じでした。
1/20なのかな、ドールハウスっぽい大きさ感。シルバニアファミリー

アトリエ・ワンに通底するある種の「明るさ」が僕にはとても心地いい。
優しさのある明快さとでも言おうか。チャーミングなセンスはなかなか大事だと思う。

ギャラリー間
http://www.toto.co.jp/gallerma/index.htm

場所、あるいは敷地

人が集まったらいいなとおもう場所。
あるいは個人的に必要としている場所。

場所を作る。

学生という身分を活かすなら、学内のどこかの、場所。
道路上なら、ホームレスのリアカーのようにモバイルな、場所。
川俣氏のようにイリーガルにまちなかに寄生するような、場所もある。

いずれにせよ、そこに自らの身を置くこと、その時間が思考の糧となろう。
必ず複数人が関係しなければならないとおもう。

「複数」であることがミソだ。

なぜならそこはpublic

2007/03/26

パブ×パブリケーション

研究とネットワーク構築のための
パブ×パブリケーション のイメージ

pubっていうのはpublic houseの短縮形だそうだ。
みんなが集まって何かをおこせる場所をつくりたい。
その場所はいつも仮設的でかまわない。
むしろその場の特性を活かした不定形なものの方が似合っている。
「花見」のような

コンテンツ(例)
なにかいい案はないか。
住研究のプロジェクト(1畳のイエを造る)、建築論(人生論)、
建築法規研究、レビュー(建物、展示、本)、インスタレーション(どこか借りて)、
創刊(時々出版フリーペーパー)、コンペ(グループで)。。。

まずは自分たちの手による仮設的な場づくりが最初のプロジェクトになりそうだ。

2007/03/24

Archi-Pub.始動

===================================
 人間の根源的活動として、研究、思考、再現(representation)を行うこと。
 建築家の責任としてのpublicationすなわち何らかのoutputを発信すること。
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以上を使命として、Archi-Pub.という「場」を始動させようと思う。

pub=pub,public,publication
archi=archi-,arch-,architecture


善い空間を作ることを通して、建築は社会に資することができる。
或は時として、社会構造に対し挑発的な問いかけをする場、としても機能しうる。
物質的権力を持っているが故に、建築とは「公共的な営み」である。
権力をどう善い方向へ向かわせるのか?
すべては建築家の裁量にかかっている。